クラッドカーカKladdkaka レシピ
kladdkakaクラッドカーカ

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クラッドカーカは、スウェーデンの家庭でおなじみのチョコレートケーキです。溶かしたバターに、砂糖とココアと卵、それに少しの小麦粉を混ぜるだけ。ベーキングパウダーは入れません。縁と表面は焼き固まり、中はねっとりしたまま残ります。
焼き時間は15〜20分ほど。オーブンから出すのは、型をゆすると真ん中がまだゆれるときです。この記事で読んだスウェーデンのレシピは直径24cmの型で焼くものが多いので、日本で手に入りやすい直径21cmの型に合わせて、面積の比で分量を直しました。
クラッドカーカとは
スウェーデン語のつづりは kladdkaka です。名前は「べたつく、ねっとりした」という意味の形容詞 kladdig から来ていて、kaka は「ケーキ」を表します。スウェーデン語では kladd の「ア」は短く、kaka の最初の「ア」は長くのばすので、「クラッドカーカ」に近く聞こえます。
西スウェーデンの観光局は、卵・小麦粉・砂糖・バター・ココアで作る、味が濃く、詰まっていて、ねっとりとしたケーキだと紹介しています。作り方がやさしいので、子どもが最初に自分で焼いてみる菓子のひとつになることも多いそうです。スウェーデンの食のメディア SENSES は、決まった規格があるわけではないとしたうえで、ねっとりしていて、詰まっていて、チョコレートの味がしっかりすることを条件に挙げています。
由来には諸説ある
クラッドカーカがいつ、どこで生まれたのかは、はっきりしていません。SENSES の記事は、確かめきれなかったとして、3つの説を紹介しています。
- 1968年、週刊誌 Veckojournalen の料理記者が、パリのカフェで出会ったという説
- 第二次世界大戦中、ベーキングパウダーが手に入りにくかったスウェーデンで生まれたという説
- アメリカのブラウニーをもとにしたという説
経済ニュースサイトの Dagens PS は、スーパー大手 ICA の話として、Veckojournalen の料理記者マルガレータ・ウィックマン(Margareta Wickman)が、1970年代の終わりにパリの蚤の市の近くのレストランでねっとりしたチョコレートケーキを食べ、レシピを持ち帰って雑誌に載せたところ大評判になった、と伝えています。パリでの出来事の年は、SENSES の記事とは食い違っています。
11月7日は「クラッドカーカの日」
スウェーデンでは、11月7日が「クラッドカーカの日」(Kladdkakans dag)とされています。Dagens PS は、スウェーデンの記念日をまとめる Svenska högtider の話として、この日を祝おうという考えは SNS 上の会話から生まれた、と伝えています。
クラッドカーカのレシピ:材料(直径21cmの底が抜ける丸型1台(8切れ分))
生地づくり 15分焼き 15〜20分(このあと冷ます時間が1時間以上)難しさ やさしい
生地
作り方
型とオーブンの準備
オーブンを170〜180℃に予熱する。型の内側に柔らかくしたバター5gを薄く塗り、薄力粉5gを入れて、型を傾けながら回して底と側面にまぶす。余った粉ははたいて落とす。
バターを溶かす
小鍋に有塩バター100gを入れ、弱火で溶かす。溶けたらすぐに火から下ろし、5分ほどおいて、鍋の底に手を当てて温かいと感じるくらい(40〜50℃)まで冷ます。
砂糖とココアを混ぜる
鍋にグラニュー糖210g、ピュアココア20g、バニラオイル5滴を加え、ゴムべらでよく混ぜる。ココアのかたまりが残っていたら、鍋の側面に押しつけてつぶす。
卵を混ぜる
全卵100gを溶きほぐし、2回に分けて加える。そのつど、ゴムべらで底から大きく、泡を立てないように混ぜる。全体につやが出ればよい。
粉を混ぜる
薄力粉70gをふるいながら加え、粉が見えなくなるまでゴムべらで混ぜる。粉が見えなくなったら、それ以上は混ぜない。
焼く
生地を型に流し入れ、表面を平らにならす。中段で15〜20分焼く。14分を過ぎたら確かめる。縁が固まって乾き、表面全体に薄い皮が張り、型を軽くゆすると真ん中がまだゆれるうちに取り出す。中心に竹串を刺すと、どろりとした生地がつく状態でよい。取り出したあとも余熱で火が入るので、迷ったら固くなる前に止める。真ん中の卵は固まりきらないので、小さな子どもや高齢の人、妊娠中の人に出すときは、竹串に生地がつかなくなるまで焼く。焼き上がりの型はとても熱いので、厚手のミトンで扱う。
冷ます
型のまま網にのせ、1時間以上おいて完全に冷ます。温かいうちは崩れやすいので、型からは外さない。冷めたら冷蔵庫で1時間ほど冷やすと、切り口がきれいになる。
仕上げる
型の側面と底を外し、皿にのせる。茶こしで粉砂糖5gをふる。生クリーム200mlを、すくうと角がやわらかくおじぎする程度に泡立てる(砂糖は入れない)。8つに切り分け、泡立てたクリームを添える。
泡立てた生クリームやバニラアイス、ベリーを添えて、コーヒーと一緒にどうぞ。西スウェーデンの観光局は、軽く温めて出すのがいちばんだとしています。
料理科学:膨張剤を入れず、真ん中をねっとり残す
ふくらませないから、詰まった食感になる
小麦粉メーカー Kungsörnen のレシピは、クラッドカーカがねっとりするのはベーキングパウダーを使わないからだ、と説明しています。
ベーキングパウダーは、生地の中で炭酸ガスを出します。ただし、新しい泡を作るわけではありません。混ぜるときに生地に入った小さな泡に炭酸ガスが入り込み、その泡を大きくして生地をふくらませます。
クラッドカーカは、バターを溶かして使います。柔らかいバターと砂糖をすり混ぜる作り方(クリーミング)と違い、溶かしたバターは空気を抱き込みません。そこに膨張剤も入れないので、生地は泡の少ないまま固まり、ずっしりと詰まった口当たりになります。卵を泡立てないように混ぜるのも、空気を入れないためです。
砂糖が多いと、卵とデンプンが固まりにくい
ケーキの生地が固まるのは、卵のたんぱく質が熱で固まり、小麦粉のデンプンが水を吸ってふくらむ(糊化する)からです。卵白は60℃台の前半から、卵黄は60℃台の後半から固まりはじめます。
砂糖は、どちらも遅らせます。砂糖が卵のたんぱく質のあいだに入り込んで、固まる温度を上げるからです。デンプンが糊化するには水が必要ですが、砂糖が水を奪い合うので、デンプンも固まりにくくなります。この記事の配合は、砂糖が小麦粉の3倍あります。そのため、縁が焼き固まっても、真ん中はまだ固まりきっていない、という状態を作れます。
見極めは「縁は固く、真ん中はゆれる」
乳業メーカー Arla のレシピは、縁が固く乾いて表面に薄い皮ができ、真ん中はまだゆれてねっとりしている状態を、焼き上がりとしています。取り出したあとも余熱で火が入るので、固すぎるより少しゆるいほうがよい、とも書いています。真ん中まで固まるまで焼くと、ねっとりした食感は残りません。
焼いた直後の真ん中がゆるくても、冷めると締まります。バターの脂は体温くらいの温度で溶け、冷やすと固まるからです。Arla が冷蔵庫で休ませてから出すことをすすめているのもそのためです。
真ん中の卵は、完全には固まっていません。小さな子どもや高齢の人、妊娠中の人などに出すときは、中心に刺した竹串に生地がつかなくなるまで焼きます。
料理科学:ココアと砂糖の比
この記事で読んだスウェーデンのレシピ5件では、ココアの重さは砂糖の7〜19%でした。大さじ3〜4杯を使う組と、デシリットル(100ml)の計量カップで量る多めの組に分かれます。この記事のココアは砂糖の約10%で、5件の中ほどです。
ココアパウダーは、カカオ豆の脂(ココアバター)を一部しぼったあとの粉で、脂は製品によって1割から2割あまりです。残りの多くは食物繊維やデンプン、たんぱく質などの細かい粒で、水を吸います。ココアを増やすと、チョコレートの味は濃くなりますが、生地の水分が粒に吸われて乾き、締まった口当たりになります。苦みや渋みも強くなります。
反対に、砂糖は水を引きつけて離さない性質があります。卵の水分に溶けた砂糖はシロップのようになり、焼いたあとも真ん中をしっとりさせます。表面に張る薄い皮は、表面の水分が飛んで、卵に溶けた砂糖が乾いてできると考えられています。クラッドカーカの砂糖が多いのは甘さのためだけではなく、ねっとりした真ん中と、表面の皮を作るためでもあります。配合をまねるときは、砂糖を減らさずに作ります。
作り方の違い
- 焦がしバター:ICA には、バターを鍋で茶色くなるまで加熱し、ナッツのような香りが立ってから少し冷まして使うレシピがあります。焦がしバターは泡立ってはねやすく、鍋も熱くなるので、やけどに気をつけます。
- 塩をきかせる:同じ ICA のレシピはフレーク状の塩を生地に入れます。Thatsup のブログ「stockholmandme」のレシピは、焼き終わる10分前に海塩を散らす方法を紹介しています。
- 低い温度で長く焼く:Kungsörnen のレシピは、パイ皿に流して150℃で30〜40分焼きます。
- チョコレートで作る:SENSES のレシピは、ココアを使わず、刻んだカカオ分70%のチョコレートに溶かしたバターを注いで溶かし、ココナッツをまぶした型で焼きます。
- 混ぜ方:ICA のもうひとつのレシピは、卵と砂糖をボウルで混ぜ合わせ、溶かしたバター、粉類の順に加えます。
- 型の準備:Arla と ICA の焦がしバターのレシピは、型にバターを塗ったあと、小麦粉の代わりに細かいパン粉(ströbröd)をまぶします。
手に入りにくい材料の代用
- バニラシュガー(vaniljsocker):スウェーデンのレシピは、バニラの香りをつけた砂糖を小さじ1〜2加えます。製菓材料店のバニラシュガーがあれば、バニラオイルの代わりに3g(小さじ1)を加えます。バニラエッセンスでも作れますが、焼くと香りが飛びやすくなります。
- 有塩バター:この記事で読んだスウェーデンのレシピ5件のうち3件は、生地に塩を入れません。Arla の有塩バターは塩分1.2%です。食塩不使用バターを使うときは、手順3で塩1g(小さじ1/6)を加えます。
- ココア:砂糖や粉乳の入った調整ココア(ココア飲料の粉)は使いません。甘さと口当たりが大きく変わります。
- 直径18cmの型で焼くとき:生地の分量を約0.73倍にします(有塩バター75g、グラニュー糖155g、ピュアココア15g、全卵75g(Mサイズ約1と1/2個)、薄力粉50g、バニラオイル4滴)。厚さは同じなので、焼き時間はほぼ同じです。13分を過ぎたら確かめます。
- 底が抜ける型がないとき:ふつうの丸型の底と側面にオーブンシートを敷いて焼きます。冷めてからシートごと持ち上げて取り出します。
失敗したときは
- 真ん中まで固く、パサついた:焼きすぎです。真ん中がゆれるうちに出しても、余熱と冷めることで締まります。次は2〜3分早く出します。
- 切ると真ん中が流れ出た:焼き時間が足りなかったか、冷めきる前に切った可能性があります。完全に冷まし、冷蔵庫で冷やしてから切ります。
- ふくらんで、ふつうのケーキのようになった:卵を泡立てるように混ぜて、空気が入った可能性があります。ゴムべらで、泡を立てないように混ぜます。
- 生地に卵の固まった粒ができた:溶かしたバターが熱すぎるうちに卵を入れると、卵の一部が固まります。手を当てて温かいと感じるくらいまで冷ましてから、砂糖とココアのあとに入れます。
保存
- 冷蔵:ラップで包むか密閉容器に入れて4日まで(Arla は冷蔵で5〜7日としています)。真ん中の卵が固まりきっていないので、早めに食べます
- 冷凍:完全に冷ましてから、切り分けてラップで包み、冷凍用の袋に入れて3か月まで(Arla による)。冷蔵庫でゆっくり解凍します
北欧のほかのレシピ
もっと知りたい人へ
出典
- Arla「Kladdkaka」(スウェーデン語)
- ICA「Bästa kladdkakan」(スウェーデン語)
- ICA「Kladdkaka med brynt smör」(スウェーデン語)
- Kungsörnen「Kladdkaka - grundrecept」(スウェーデン語)
- Thatsup(stockholmandme)「Världens godaste och enklaste kladdkaka」(スウェーデン語)
- SENSES「Veckans recept: Kladdkaka med chokladkräm och sotade apelsinfiléer」(スウェーデン語)
- Dagens PS「Kladdkakans dag – bara toppen på ett isberg」(スウェーデン語)
- Västsverige「Klassiska svenska bakverk」(スウェーデン語)
- ICA Handla「Vetemjöl 2kg Kungsörnen」(スウェーデン語)
- ICA Handla「Smör Normalsaltat Svenskt 82% Ekologisk 250g Arla」(スウェーデン語)
- Wikipedia「Kladdkaka」(英語)
本文とレシピは、上の情報源を比べたうえで独自に組み立て直したものです。